製造業の集客|「どこに載るか」より「どう覚えられるか」

何年か前、自分のサイトに、こつこつ記事を書きためていた時期があります。検索で見つけてもらうために、狙った言葉で上のほうに出るように、いろんな切り口で書いて、順位を上げていました。いわゆるSEOってやつですね。
それを続けて、毎月安定して新しい問い合わせが来るくらいまでは、育てられたんです。「お、なんとかなってきたな」と思っていました。
でも、ある日を境に、問い合わせがぱたっと止まりました。
何かやらかしたかな、と原因を探してみたら、サイトの表示回数(検索結果に自分のページが出てくる回数です)が、ドンと落ちていたんです。感覚では、9割方が消えていました。
検索に出てこなければ、サイトに来てくれる人も減る。来る人が減れば、問い合わせも来ない。そういう連鎖です。
しかも、こちらは何もいじっていない。Googleの仕様が変わったんやろな、というくらいしか分かりません。それが半年以上も戻らず、最近になって、やっと少し戻ってきたかな、という具合です。
このとき、しみじみ思いました。ネットの集客って、自分で握っているようで、じつは握れていないんやな、と。今日はその、集客をどこに置くか、という話をしてみます。
検索やSNSの順位は、他人のルールで動いている
ネットの露出は、自分では守れません。
検索の順位も、SNSで流れてくるかどうかも、決めているのは自分ではなくて、GoogleやSNSといった、その場所を持っている側なんです。あちらのルールがひとつ変われば、昨日まで一番上にいたページが、次の日には誰の目にも触れなくなる。
こちらがサボったわけでも、質を落としたわけでもない。それでも消える。 僕が体験したのは、まさにこれでした。がんばって積み上げた順位ほど、自分の手では守れない、という現実です。
もちろん、露出そのものが悪いわけではありません。ただ、そこ"だけ"に集客をぶら下げていると、ルールが変わった日に、いきなり客足が細る。土台にするには、ちょっと足元が不安定なんですよね。
不便な場所なのに、人が集まる店の話
打ち合わせで、ある店の話が出ました。場所は、お世辞にも便利とは言えないところです。
そこは、僕が前から、いいブランドやなあと思っている、奈良の雑貨店なんです。カフェも併設した、こだわりの詰まったお店。ただ、これがけっこうな山の中で、車で向かっても一度通り過ぎて戻るくらいの場所にある。
なのに、人が集まる。わざわざ時間をかけて、たどり着く。先方も実際に足を運んだそうで、その空気にすっかりやられて帰ってきていました。大阪にも、同じように不便な場所なのにお客さんが絶えない店があって、そこは僕が「ぜひ一度」と勧めているくらいです。
なんでやろ、と考えると、答えははっきりしていて。あの店に行きたい、と名前で思ってもらえているからです。「近いから」でも「広告で見たから」でもない。世界観がブレないから、その場所は"あの店"として頭に残っていて、人は不便ささえ越えて会いに行く。
これは、さっきの露出とは、集客の出どころがまるで違うんですよね。
「どこに載るか」より「どう覚えられるか」
露出頼みの集客と、覚えてもらう集客。並べてみると、違いはシンプルです。
「どこに載るか」は、他人が決めます。検索の順位も、どのプラットフォームで目立つかも、あちらの都合でいつでも変わる。積み上げても、消えるときは一瞬です。
「どう覚えられるか」は、こちらで積み上げていけます。ブレない世界観で名前を覚えてもらう。思い出してもらう。指名して来てもらう。こっちは、検索順位みたいに一晩でひっくり返るものではありません。一度その人の頭に居場所ができたら、それは簡単には消えない、こちらの土台になります。
だから、集客の土台はこっちに置いたほうがいい、と僕は思っています。載る場所を追いかけるより、覚えてもらう形を作るほうへ。派手さはないし、時間もかかる。でも、そのぶん、崩れにくい。
じゃあ、SEOも広告もやらない方がいい?
こう言うと「露出はもう捨てろ」という話に聞こえるかもしれませんが、そうではありません。
検索も、SNSも、プレスリリースも、新しい人に見つけてもらう"きっかけ"としては、よく効きます。使えるものは使ったらいい。僕自身、今もこうしてサイトに記事を書いています。
線を引きたいのは、そこに"全部"を賭けないこと。きっかけはきっかけとして使いつつ、軸足は「覚えてもらう」側に置いておく。そうしておけば、ある日また順位がドンと落ちても、名前で思い出してくれる人が残る。その足場があるだけで、露出の波に、だいぶ耐えられるようになります。
露出は、あくまで入口。土台は、覚えられ方。この順番だけは、間違えないようにしたいんです。
おわりに
集客というと、つい「どこに出すか」「どう露出を増やすか」に頭が向きます。もちろん、それも要る。でも、そこばかりを追いかけていると、他人のルールに振り回されて、けっこう疲れてしまう。
たとえば、こんなところで引っかかっていないでしょうか。
- がんばって検索やSNSで伸ばしても、仕様が変わるたびに数字が乱高下する
- 広告を止めた瞬間、客足まで止まってしまう
- そもそも、何で覚えてもらえばいいのかが、はっきりしない
どれも、集客の土台を、自分では握れない露出のほうに置いているときに、起きやすいことです。
僕は、商品やブランドのお手伝いをするとき、この「どう覚えてもらうか」を一緒に考えることが多いです。載る場所は、いつか誰かに消されるかもしれない。でも、ブレない世界観で覚えてもらえたら、それはそう簡単には消えない集客になります。露出を追いかけるのに少し疲れてきたな、というところなら、その土台づくりから一緒にやれることもあると思います。よかったら、気軽に声をかけてください。
この記事は、実際の打ち合わせをもとにしていますが、お相手の会社名やブランドの内容は伏せています。
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