【実例あり】独自性と特徴で“売りやすい”商品を作る方法|強みを活かすポイント

はじめに
「自社ならではの強みを活かして、売りやすい商品を開発したい」
そんな思いを抱えている製造業の開発担当者に向けて、この記事では“独自性”や“特徴”を前面に打ち出した商品づくりの実例を紹介します。
私たちが取り組んだのは、天然木とギター職人の塗装技術を活かしたiPhoneケース。すでに多くのメーカーが参入しているスマホケース市場ですが、素材と特殊技術を組み合わせることで「価格以外の魅力」を高め、売りやすさを実現しました。
本文では、開発の経緯や課題、販路拡大のポイントなどを詳しく解説します。自社独自の強みを活かして“売りやすい商品”を育てるためのヒントになれば幸いです。
はじめに1. “売りやすい”iPhoneケースを開発しようと思ったきっかけ安定した需要と市場の特徴この章のポイント2. 独自性を高める素材選び2-1. 一般素材との差別化ではなく「オンリーワンの価値づくり」2-2. iPhoneのシンプルさを“個性”に変えるこの章のポイント3. コラボレーションで強みを活かす3-1. 木材加工のパートナー探し3-2. ギター職人との出会いこの章のポイント4. 実例の具体化:パートナーへの提案とサンプル作成4-1. 熱意を伝える企画プレゼン4-2. 端材活用のアイデアこの章のポイント5. “売りやすさ”を広げるための販路開拓とプロモーション5-1. 展示会への出展5-2. 異業種店舗とのつながりこの章のポイント6. 商品開発における課題と乗り越え方6-1. 木材×部分メッキの加工難度6-2. ケースの取り外しに苦戦この章のポイント7. トラブルをアイデアへ転換:ギターのピックが生んだ付加価値苦肉の策が商品価値を高めるこの章のポイント8. 完成したiPhoneケースの魅力8-1. 天然木ならではの質感と経年変化8-2. ギター職人の塗装技術8-3. トラブル解決から生まれた付属ピック8-4. 広がる販路9. 製造業の皆さんへ:自社の強みを活かすポイント9-1. 素材選定×背景ストーリー9-2. 実物による訴求9-3. トラブルを付加価値に変える柔軟性9-4. 自社リソースとパートナーの強みを掛け合わせる10. まとめ
1. “売りやすい”iPhoneケースを開発しようと思ったきっかけ
安定した需要と市場の特徴
iPhoneケースの開発を始めた理由は、「売りやすく、作りやすい商品を新たに企画したい」という方針からでした。
- iPhoneユーザーの多さ:定期的な買い替え需要がある
- 基本構造のシンプルさ:量産しやすい形状
- 既存販路との相性:取引先がスマホアクセサリに強みを持っていた
一方で、スマホケース市場は競合が多く、単なる低価格路線では埋もれがちです。そこで、「自社らしい強み」を打ち出した独自性を発揮しようと考え、天然木を取り入れたiPhoneケース開発に乗り出しました。
この章のポイント
- 市場が大きくても、同質化しやすい商品は「自社の特徴」を活かす発想が必須
- 既存の販路と親和性がある商材を選ぶことでスタートダッシュしやすい
2. 独自性を高める素材選び
2-1. 一般素材との差別化ではなく「オンリーワンの価値づくり」
革や金属といった素材はすでに多くのメーカーが使っており、ユーザーから見て違いが分かりにくい状況でした。そこで目を付けたのが天然木。
- 一点ごとに異なる木目:世界に一つだけのデザイン
- 経年変化を楽しめる:使うほど味わいが増す
- 高級感と温もり:金属やプラスチックとは違う質感
このような特性がユーザーの愛着を育み、「所有したい」と思わせる要素になると考えました。
2-2. iPhoneのシンプルさを“個性”に変える
iPhoneはデザインが洗練され、世界中で同じ形状の端末が流通しています。そこに「自分だけの個性」を与えるため、天然木特有の風合いを活かした商品づくりを目指しました。
この章のポイント
- 市場で多用されている素材をあえて外し、自社独自の価値づくりを優先する
- シンプルな本体デザインを“canvas”と捉え、素材の個性で特徴を出す
3. コラボレーションで強みを活かす
3-1. 木材加工のパートナー探し
「天然木を活用する」と決めたものの、実際には建築・家具・工芸品など、木材加工を手掛ける業者は幅広いです。どこが自分たちの狙いに最適かは分からなかったため、国内の業者リストを調べながら、高精度な加工技術や塗装技術を持つパートナーを探すところから始めました。
3-2. ギター職人との出会い
そんな中、目に留まったのがギターメーカーの木材加工技術。自社ブランドだけでなく海外のOEMも手掛けるほどで、特にギターのサンバースト塗装は木目を活かしつつ華やかなグラデーションを表現できます。
これをiPhoneケースに応用することで「ほかにはないデザイン」が可能になると直感しました。
サンバースト塗装:ギターのボディ中央部から外側に向けて段階的に色を濃くする技法。木目を隠さず、独特のグラデーションを生み出す。

この章のポイント
- 必要な技術を持つパートナーは、意外な業界に存在する
- 「ギター職人×iPhoneケース」のような異業種コラボが新しいアイデアを生む
4. 実例の具体化:パートナーへの提案とサンプル作成
4-1. 熱意を伝える企画プレゼン
ギターメーカーへ連絡を取り、塗装技術やOEM実績をヒアリングしたうえで、こちらの企画をプレゼン。担当者も興味を示してくれ、サンプル作成に進めることになりました。
4-2. 端材活用のアイデア
ギター製作では端材が多く出るものの、活用先が見つからないという悩みがあったそうです。
- ケースの大きさなら端材でも十分なサイズ
- スポルテッドやホンジュラスマホガニーなど希少材を使える
- 限定モデルとしての付加価値が高まる
こうした要素が重なり、「強み×未活用資源」で新たな価値を生み出せる状況になりました。
スポルテッド:木材内部に菌が作る模様が特徴。世界にひとつだけの模様が楽しめるホンジュラスマホガニー:赤みのある木目が美しく、高級家具や楽器に使われる希少材
この章のポイント
- 相手側の未活用資源(端材など)に目を向けると、コスト面・ブランディング面でプラスを生み出せる
- お互いの強みや課題を擦り合わせることで、ワクワクする商品アイデアが生まれる
5. “売りやすさ”を広げるための販路開拓とプロモーション
5-1. 展示会への出展
天然木の質感や塗装技術は、写真や文章だけでは十分に伝わりにくいものです。そこでギフトショーに出展したところ、次のような成果がありました。
- 「木製iPhoneケースを実際に見たくて来場した」という人が多数
- 触ってみたバイヤーから高評価を獲得
- 販路拡大に直結する商談がスムーズに進んだ
5-2. 異業種店舗とのつながり
代官山 蔦屋書店や東急ハンズ、インテリアショップなど、大手小売店のバイヤーと直接話ができるのは展示会ならでは。さらに、楽器販売店でも「ギターとおそろいでケースを買いたい」というユーザー層にアピールが可能になりました。
この章のポイント
- 実物の質感やストーリーを直接伝えられる展示会は強力な販促手段
- 「ギター職人の塗装を活かしたiPhoneケース」という独特の背景が、異業種の販売チャネルにも広がりを生む
6. 商品開発における課題と乗り越え方
6-1. 木材×部分メッキの加工難度
iPhoneケース自体は形状こそシンプルですが、木材の丸みを持たせた仕上げやポリカーボネートの縁にメッキを施すなど、一見細部のこだわりが多く、量産化では苦労しました。
- ラウンド形状がもたらす加工コストの上昇
- メッキを施す部分と保護する部分を分ける治具の開発
6-2. ケースの取り外しに苦戦
天然木を貼り合わせたことで硬度が増し、iPhone本体が外しにくいという使い勝手の問題が発生。ユーザーの利便性に直結するため、慎重な対処が必要でした。
この章のポイント
- 素材やデザインにこだわるほど、製造工程とコストのバランスを調整しなければいけない
- 「売りやすさ」と「使いやすさ」は両立が重要で、早期の試作・改善が不可欠
7. トラブルをアイデアへ転換:ギターのピックが生んだ付加価値
「外しづらい」という課題をどう解決するか悩んでいたとき、ふと作業場にあったギターのピックを使ってみると、意外とスムーズにケースが外せると分かりました。
苦肉の策が商品価値を高める
これをヒントに「オリジナルピック」を付属するようにしたところ、
- ケースの着脱がしやすくなる
- ギター職人の世界観を強調できる
- 「木製iPhoneケース+ピック」のストーリーが口コミでも話題に
もともとは問題対処だったのが、結果的に商品の魅力を上乗せするアクセントになりました。
この章のポイント
- 予想外のトラブルも、発想次第で独自の付加価値に変えられる
- 自社の強みや開発背景を活かして「ストーリーづくり」を加速させる
8. 完成したiPhoneケースの魅力
8-1. 天然木ならではの質感と経年変化
一点ごとに異なる木目や使い込むほど深まる味わい。スポルテッドやマホガニーなどの希少材を選べば、限定モデルとしても展開できます。
8-2. ギター職人の塗装技術
サンバースト塗装など、素材を生かしながらも芸術性を感じる仕上がり。高級感と温かみを両立させました。
8-3. トラブル解決から生まれた付属ピック
「外しづらい」というデメリット解消だけでなく、ギターの世界観を強調する演出にも一役買っています。
8-4. 広がる販路
大手小売店や楽器販売店など、通常のスマホケースでは想定しにくい販売チャネルにも展開可能です。
9. 製造業の皆さんへ:自社の強みを活かすポイント
9-1. 素材選定×背景ストーリー
既にありふれた素材・加工方法では、魅力が埋もれがち。あえて手間がかかる選択をすることで“独自性”を生む。
9-2. 実物による訴求
展示会や店舗などで直接見てもらうと、“素材や技術の良さ”が伝わりやすい。オンラインだけでは分からない質感が商品価値を押し上げる。
9-3. トラブルを付加価値に変える柔軟性
ピックの事例のように、開発過程で生じた問題をアイデア転換する視点が“オンリーワン”の商品づくりに活きる。
9-4. 自社リソースとパートナーの強みを掛け合わせる
「ギター職人の塗装 × 端材活用」というコラボレーションに見るように、互いの強みが合わさると、新しい市場を開拓できる。
10. まとめ
本記事では、「天然木×ギター職人の塗装技術」を掛け合わせて作ったiPhoneケース開発の実例を通じて、“独自性”や“特徴”を打ち出し、売りやすい商品を生むためのポイントをお伝えしました。
- 自社ならではの強みを明確にする
- 異業種コラボで新しい価値を創造
- 課題をチャンスに変える柔軟な発想
- 展示会などで実物をアピールし販路を拡大
製造業の新商品開発では、どうしても価格競争に偏ったり、既存技術だけでまとめてしまいがちです。ですが、“独自性”や“特徴”が際立つ商品は、ユーザーの心を捉えて離さない“売りやすさ”を獲得できます。
本記事の内容が、あなたのものづくりプロジェクトのヒントになれば幸いです。自社の強みを改めて見つめ直し、新しい価値を生み出す商品づくりに挑戦してみてください!
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