商品開発の依頼|作ってもらうか、作れるようになるか

仕上がった木の皿と、削りかけの木の塊に立てかけた丸ノミ。商品開発の依頼で、作ってもらうか自分たちで作れるようになるかの違いを表したイラスト
デザイナーに頼む、と言ったとき、思い浮かぶのはたぶんひとつだと思います。作ってほしいものを伝えて、作ってもらう。
でも、頼み方はもうひとつあります。自分たちで作れるようになる、という頼み方です。
どっちを選ぶかで、値段も、期間も、自分たちがやることも変わります。しかも、最初にどっちか決めておく必要はありません。

二つの頼み方は、何が違うのか

違いはひとつだけです。手を動かすのが、僕か、そちらか。
僕が作る場合は、何を作るのかを一緒に決めて、そこから形にするところを僕が引き受けます。
自分たちで作る場合は、僕がお伝えするのは作り方です。それをもとに考えるのも、形にするのも、そちら。次の商品も、その次も、自分たちで作れる状態を一緒に目指します。

最初に、どっちか決めなくていい

頼む前から、どっちの頼み方にするか決めている人もいます。作ってほしいと決めている人、自分たちでできるようになりたいと決めている人。
でも一番多いのは、最初は作ってもらうつもりだったけれど、話しているうちに「自分たちでできるようになれるなら、そっちがいいかも」と思い始めるパターンです。そもそも、そういう頼み方があること自体、知らないまま来る人がほとんどなので。
「自分たちでもできたら」という一言が出たときや、予算が限られているときは、僕のほうから「こういう組み方もありますよ」とお話しすることもあります。
なので、問い合わせの前に社内で方針を固めておく必要はありません。話しながら、決めていきましょう。

僕が作る場合は、こう進みます

進み方は単純です。最初に一度、じっくり話します。そのあとの細かい確認はメールでやり取りして、できたものはプレゼンでお見せします。
かかるのは、最短で2週間。多いのは1ヶ月くらいです。
途中で意見が割れることもあります。そういうときは、思っていることを全部お伝えします。そのうえで決まった方向なら、僕の意見と違っていても、そのなかでいちばん良い形を目指して作ります。
できあがりを見て、修正したいところが出てきたら対応します。回数をきっちり決めているわけではないので、気になるところは遠慮なく言ってください。
ただ、最初に聞いた話と全然違う方向になったときは、修正ではなく作り直しです。そういうときは「当初のお話と変わってきていますよね」と、その場でお伝えします。実質は最初からのやり直しなので、なぜそうなるのかを説明したうえで、作り直しのぶんの費用は、あらためて見積もりを出させてもらいます。

自分たちで作る場合は、こう進みます

自分たちで作れるようになるまで、僕が隣につく組み方です。世間では、伴走と呼ばれたりします。
まずお話しするのは、進め方です。誰に向けて作るのかをどう決めるか。コンセプトをどういう順で考えるか。どうやって知ってもらうか。そういうことを、順番にお話ししていきます。必要なら、例をひとつお見せします。
そのあと、実際に手を動かして考えるのは、そちらです。出てきたものにはフィードバックをしますし、迷った点は一緒に考えます。ただ、僕がそれを作ることはしません。
打ち合わせは月に1〜2回。長い会社さんだと、1年を超える期間で組んでいます。

口は出すけど、手は出さない

任せると言っても、放っておくわけではありません。ただ、僕が「これでいこう」と決めることはしません。気をつかうのは例の見せ方で、例をひとつ見せると、そこから離れられなくなることがあります。ここの加減は、いまだに悩みます。
なぜそこまで、手を出さないのか。理由は、作れることと、それでいいのか判断できることが、別だからです。
たとえばキャッチコピーを考えてもらうと、案はちゃんと出てきます。三つでも四つでも出てくる。でも、そこで手が止まる。どれがいいのか、自分では分からないんです。
問題集なら、最後のページに答えが載っています。でも自分の会社の商品に、答えのページはない。だから、案は出せても、それでよかったのかを確かめられない。
やり方が分からない。できても、それでいいのか判断できない。そのポイントごとに手を貸すのが、僕の仕事です。
売れるかどうかは、出してみないと分かりません。でも、出す前に「これでいこう」と言える根拠は、一緒につくれます。

記録に残っていたこと

長く続いている会社さんの議事録を、はじめから読み返してみました。毎回、次までにやることを担当ごとに決めています。
会社さん側に並ぶのは、こういうものです。
  • 気になるブランドを徹底的にリサーチする
  • 現状の要素からキャッチコピーを仮決めする
  • 決まっていないこと、迷っている項目をリスト化して可視化する
  • 展示会までのスケジュールを引き直す
  • コンセプトの文章案を作り、社内の人に読んでもらう
僕の側は、こうです。
  • ブランド作りのアドバイスとディレクション
  • 出てきたアイデアの整理とフィードバック
  • 口出しや質問に回答
僕が作るものは、ひとつも並んでいません。並んでいるのは、隣で見て、口を出す仕事だけです。

値段と期間は、どう決まるのか

何を頼めるかと金額は、サービスのページに出しています。僕が作る場合は15万円から、3DCGやグラフィックなら5万円から。伴走は月額5万円からです。
どっちが高くつくかは、案件の規模で変わります。僕が作る場合は、何をどこまで作るかで大きく振れます。伴走は月々の額が決まっているぶん、続いた期間だけ積み上がっていきます。だから先に一度お話しして、そのうえで見積をお出しします。
伴走の期間は、最初に目安を決めて、進み具合を見ながら調整していきます。「何ヶ月は続けないといけない」という縛りはありません。合わないと感じたら、その時点で区切ってもらえます。
正直に書くと、半年を過ぎても、まだ商品を作る手前にいる会社さんもあります。コンセプトをどう言葉にするか、というところを行ったり来たりしている段階です。ここを飛ばして作り始めると、あとで全部やり直しになります。だから、ここは急ぎません。
違うのは、終わったときに何が残るか。完成した商品がひとつ残るのか、それとも作り方が社内に残るのか。

見積より先に、まず話します

順番としては、フォームで連絡をもらって、日程を合わせて、まず一度話します。そこから見積を出して、必要なら契約書を交わす、という流れです。打ち合わせは30分から60分くらい、基本はオンラインです。
話を聞かないと、見積が出せないんです。何を作るのか、どこまで関わるのか、いつまでに必要か。そこが分からない状態で金額だけ出しても、その数字には何の根拠もありません。
だから最初の一回は、売り込みの場ではありません。何をどう頼むのかを、一緒に探す時間です。

おわりに

どちらを選ぶかの物差しは、ひとつだと思っています。
自分の会社で商品を作っていきたいのか。作るのは誰かに任せて、自分たちは売ることに集中したいのか。
たとえば、こんなところで止まっていないでしょうか。
  • 頼みたいけれど、何をどこまで頼めばいいのか分からない
  • 一度作ってもらっても、次にまた同じところで止まりそう
どれも、頼み方がひとつだと思っているときに、起きやすい止まり方です。
作ってもらうか、作れるようになるか。どっちが正しいという話ではないので、迷ったままでも大丈夫です。よかったら、気軽に声をかけてください。

この記事は、実際の打ち合わせをもとにしていますが、お相手の会社名やブランドの内容は伏せています。