商品開発の秘訣|【優先順位】と【情報整理】の重要性

優先順位を考えて情報を整理する:製品開発における重要な要素

 
最近、売り場で見かけた洗剤に違和感を覚えました。 泡持ちMAX」と「泡切れMAX」というキャッチフレーズ。 これらは、機能を前面に出して売り出すのではなく、顧客の生活スタイルを重視したマーケティングが感じられました。おそらく、このアプローチは、顧客の「ドリルではなく、穴を欲している」という心理を反映した結果だと考えられます。
製品開発において重要なのは、顧客が求める「価値」を明確にし、それをどう製品に落とし込むかです。このプロセスこそが、成功する商品開発の鍵を握っています。
 

シリーズ感の重要性:パッケージデザインの統一感

「泡持ちMAX」と「泡切れMAX」は、同じシリーズだと感じた人は私を含め多いでしょう。 パッケージデザインは、製品ごとの差異を強調しつつ、全体に統一感を持たせています。 このデザインの統一感は、消費者が製品を購入する際に迷わないよう配慮されています。
 
商品のパッケージデザインでは、製品の「一貫性」と「差別化」をどう表現するかが非常に重要です。 統一感を保ちながらも、製品ごとの違いをしっかりと示すことで、消費者にとってわかりやすく、買い間違いを防ぐことができます。
 
そんな前提の中、使用方法の違いが気になりました。
 

使用方法の違いに着目したパッケージの進化:逆さボトルの登場

最近の食器用洗剤には、逆さボトルが登場しています。 これまでのボトルは上部に取り出し口があり、収納時と使用時でボトルの向きが逆でした。 しかし、逆さボトルは収納時と使用時の向きが統一され、手の動きや作業効率がとても自然でスムーズになります。
この「使いやすさ」が商品の魅力を高め、消費者の支持を集める要因となっています。
 

小さな変更が大きな効果に:洗剤ボトルの進化

一見、小さな変更ですが、逆さボトルの導入は非常に大きな効果を生んでいます。 シンプルなアイデアであるこの変更が、市場で受け入れられている理由です。
このアイデア自体は昔からあったのかもしれません。 企画会議で何度も議題に上がっていたのかもしれません。 逆さボトルの設計には、ボトルの素材選定や構造における技術的な課題があったはずです。
 
逆さまの状態で置いていても洗剤が出てこない構造を実現する事が1番の課題となります。 逆さに置いていても出ないけど、ちょっと押すと出てくる「絶妙なバランス」
ちょっと押すとはどのくらいなのか。個人差が必ず出てきてしまいます。 このいい塩梅を見つけたことで課題が解決したから発売に繋がったのだと個人的には思っています。
 
そして消費者の利便性を最優先することで、商品の魅力を最大化することができました。 取り出し口を反対にしただけですが、とても大きな効果が出ています。 「だけ」という言葉が私は好きです。
 

便利な商品の裏側:製造業の努力と技術

このような「絶妙なバランス」が成り立っている商品は世の中に多く存在します。 例えば、缶飲料やサラダドレッシングのフタもそうです。 使用時には簡単に開封でき、保管時には漏れがないように設計されています。 もし、保管時に中身が漏れてしまうと、クレームや商品の価値が損なわれるだけでなく、最悪の場合、返品されてしまうリスクも高まります。
 
以前、サラダドレッシングのフタの製造工場を見学したことがあります。 その工場では、毎日何万個もの製品を24時間体制で自動化して生産していました。 「絶妙なバランス」を保つため、製造過程で非常に精密なチェックが必要です。
 
万が一破れているフタが納品されて、重欠点と判断されるとロットアウトとなり、何十万個が返品される可能性があります。無視できない損害となるため、全数検査をしていました。
そのため、カメラによる画像検査と圧力テストのダブルチェックの仕組みが導入されていました。 数千万円の設備投資が必要だったそうですが、リスクや検査精度とコストを考慮した結果、設備投資されたそうです。
便利な商品が生まれる裏では、製造業の努力と技術があるのです。
 

当事者のみが知る:ボトルの違い

さて、この話を洗剤に戻すと、両方のボトルを逆さボトルにすることが自然な流れのように感じました。しかし、実際には泡切れMAXは従来のボトルで、逆さボトルは使用されていません。 この理由を考えてみました。
 

1. 技術的な課題

泡切れMAXは、泡切れの良さという機能を強調するため、現時点では洗剤の粘性が低く、逆さにすると液漏れが発生する可能性があるのかもしれません。そのため、今後技術が進化すれば、両方を逆さボトルにする方向が検討される可能性もあります。
 

2. 意図的な違いの表現

もう一つ考えられるのは、両方を逆さボトルにすることが可能だったが、あえてボトルの形状を変えて「違い」を強調したという点です。 シリーズの統一感を保ちながらも、製品ごとの違いを明確に表現するために、パッケージやプロダクトのデザインを工夫した可能性があります。
実際に、どのような意図や技術的な理由があるのかは分かりません。 しかし、商品を開発する際には常に優先順位を決める必要があります。 シリーズとして統一感を重視するのか、それとも製品ごとの違いを強調するのか。 その方法がパッケージデザインなのか、プロダクトデザインなのか、慎重に検討することが重要です。
 

目的を達成する商品開発:優先順位をつける重要性

商品開発においては、優先順位をつけることが非常に重要です。 製品のデザインやパッケージにおいて「統一感を出す」ことが最も重要なのか、「違いを強調する」ことが重要なのか、それぞれの要素をどう表現するかはデザインの根幹にかかわります。 優先順位をしっかりと決め、設計段階で意識することで、より効果的な商品開発が可能となります。
 

まとめ:製品開発の優先順位が成功を左右する

商品開発の本質を見極め、どの要素を最も伝えるべきかを整理することが大切です。 このステップを飛ばすと、ターゲットに届かず、最終的に「売れない製品」になりかねません。 商品開発の初期段階で優先順位をつけることで、消費者のニーズを反映した商品を作り出し、結果として市場での成功に繋がります。