商品企画の仕事とは?|コンセプトを作る目的や必要なスキルを解説

はじめに
「商品企画」と聞くと、いきなりアイデア出しやデザインを始めるイメージがあるかもしれません。しかし、私が考える商品企画の本質は、まずゴール(コンセプト)を明確にすることです。なぜなら、ゴールが定まっていないと、関係者全員が「なんか違う」という曖昧なフィードバックを繰り返し、迷走してしまうからです。
この記事では、「商品企画=コンセプトづくり」という考え方を軸に、プロジェクトをスムーズに進めるためのポイントをお話しします。
•そもそも商品企画って何?
•「なんか違う」を言われ続けて苦労した経験は?
•ビジネス面(コスト・利益)とのすり合わせはどうする?
•言語化トレーニングって何をすればいいの?
これらの疑問に答えながら、読んでいただいた方に「なるほど、これなら自社でも試せるかも!」と思っていただけたら嬉しいです。
はじめに1. 商品企画とは目指すべきゴールとして“コンセプト”をつくること1-1. なぜ最初にゴール=コンセプトを決めるのか1-2. デザインや製造方法はあくまで“手段”2. コンセプトはシンプルなほど良い2-1. “シンプルなコンセプト”とは何か2-2. AppleやMUJIのように“ノイズ排除”する姿勢3. 「なんか違う」地獄とは? 迷走を防ぐポイント3-1. 「なんか違う」が頻発するパターン3-2. 私自身の若手時代の苦労4. 言語化トレーニングで論理を手に入れる4-1. 言語化するメリット4-2. 印象を言葉に落とし込む具体的な練習方法5.抽象度の高いプロジェクトでもうまくいった実例 グローバル企業の展示デモ機6. ビジネス面とのすり合わせ:コスト・利益もゴールから逆算6-1. コンセプトがあれば優先度が明確になる6-2. 経営層への説明効果7. コンセプトがブレそうになったら? 運用のコツ7-1. 定期的にコンセプトを再確認する7-2. 必要であれば“言語化”し直す8. まとめ:商品企画=コンセプト(ゴール)を先に固めようおわりに:まずは“コンセプトをシンプルに”試してみませんか?あなたのプロジェクトをサポートします
1. 商品企画とは目指すべきゴールとして“コンセプト”をつくること
1-1. なぜ最初にゴール=コンセプトを決めるのか
多くの場合、商品企画と聞くと「どんなデザインにしよう」「こういう機能があれば売れるかも」と具体的なアイデアを先に考えてしまいがちです。しかし、実はゴール(コンセプト)を固めることこそが企画の核心だと私は考えています。理由は以下のとおりです。
- 判断基準が明確になる
プロジェクトの過程では、「このデザインはアリ?」「機能を増やすべき?」など、無数の判断が必要です。ゴールがはっきりしていれば、「それはゴールに合っているか?」という客観的な軸で評価できます。
- 「なんか違う」を減らせる
ゴールが不明確だと、メンバーやクライアントが主観的に「良い/悪い」を言ってしまい、結果として迷走ややり直しが続きます。
- プロジェクトがスムーズに進む
全員が「目指すべきゴールはこれだ」と共通認識を持つと、提案や修正の議論が具体的かつ建設的になります。
1-2. デザインや製造方法はあくまで“手段”
私はプロダクトデザイナーとして活動していますが、デザイン自体はゴール(コンセプト)を実現するための手段にすぎないと考えています。たとえば、「若い女性向けにかわいい印象を与える」というゴールがあれば、そのゴールに沿ったデザイン手法や製造方法を選ぶだけです。
- ゴールが決まっていないのにデザインを始めると、“なんか違う”地獄に陥りやすい。
- 一方、明確なコンセプトがあれば、「なぜこのデザインなのか」を理論的に説明でき、周囲の納得感が高まります。
2. コンセプトはシンプルなほど良い
2-1. “シンプルなコンセプト”とは何か
私の持論ですが、コンセプトはシンプルであるほど強いと思います。要素を詰め込みすぎると、どれが核なのか分からなくなり、意思決定のたびにブレてしまうからです。
- 「これだけは絶対に譲れない!」という想いを一文で言い切れるレベルが理想的です。
- 「デザインも機能も価格も全部大事!」と盛り込みすぎると、結局何が特徴なのか、強みが埋もれて誰にも刺さらない商品となってしまいます。
2-2. AppleやMUJIのように“ノイズ排除”する姿勢
「Appleっぽい」「MUJIっぽい」と言われる製品は、不要な装飾や要素を徹底的にそぎ落として“本質”を際立たせる姿勢が特徴です。それらはシンプルなコンセプトを徹底的に貫くことで強いブランド力を得ています。
Appleの場合
ユーザー体験を極限まで追求するため、必要なもの以外はすべて削ぎ落とす。
MUJIの場合
「これでいい」という理性的な満足感を目指し、不要な装飾を一切排除している。
AppleやMUJIのノイズ排除については、こちらで詳しく解説しています。
3. 「なんか違う」地獄とは? 迷走を防ぐポイント
3-1. 「なんか違う」が頻発するパターン
- コンセプトが曖昧なまま、デザインや仕様を詰め始める → 「良さそう」「いや微妙じゃない?」という主観の議論で時間が浪費
- 上司やクライアントが感覚派 → 「なんとなく気に入らない」「なんか違う」と言われても、具体的な改善点が分からない
- 若手デザイナーや企画担当が言語化できず、感覚だけで進める → 自分の考えをうまく説明できず、ひたすら作り直すばかり
3-2. 私自身の若手時代の苦労
正直、私も新人の頃は「これ、カッコいいと思います!」と提案しては「うーん、なんか違うね」と言われ続けるループにハマりました。作り直してもまた「なんか違う」の繰り返し。後で振り返ってみると、「なぜカッコいいと思うのか」を自分自身が言語化できていなかったためだと分かります。
•ゴール=コンセプトが自分の中で曖昧
•感覚だけで進めているから説明できない
この状態だと周囲も指摘のしようがなく、結果的に「なんか違う」で却下されるしかありませんでした。
4. 言語化トレーニングで論理を手に入れる
4-1. 言語化するメリット
- 周囲の理解が得やすくなる
- 「どういう印象を与えたいか」「どんな要素を入れているのか」を言葉で説明すれば、チームやクライアントも具体的なフィードバックができます。
- 具体的な手段が見えてくる
- たとえば「レトロな雰囲気にしたい」なら「なぜレトロと感じるのか?」を分解すれば、実際のデザイン要素(色、フォント、素材など)が浮き彫りになります。
- 修正の回数が減少する
- 自分でも頭の中が整理されるので、“なんか違う”と大幅にズレる確率が下がります。
4-2. 印象を言葉に落とし込む具体的な練習方法
- ステップ1:商品や画像を見て受けた印象をまず単語で列挙する
「未来的」「レトロ」「ミニチュアっぽい」「安心感」など、直感で出てくるキーワードを書き出す。
- ステップ2:なぜそう感じたかを要素分解する
色味? 形状? 素材? フォント? どこがポイントなのか深掘りする。
- ステップ3:文章にまとめる
「○○な曲線と落ち着いた色味が相まって、昭和家電を連想させる“レトロ感”を演出している」といったように、一文で説明できるとベスト。
- ステップ4:Why? So what?で深掘りする
「なぜ昭和家電っぽいと感じる? それがどうターゲットに効く?」と自問すると、コンセプトがより明確になります。
5.抽象度の高いプロジェクトでもうまくいった実例
グローバル企業の展示デモ機
ある大手メーカーから「展示デモ機を作ってほしい」と依頼があったときのお話です。参加メンバーは研究職、広報担当、現場スタッフとバラバラな役割で、最初からデザインや機能を具体化しようとしても衝突必至でした。
- 研究職:「最新技術をアピールしたい」
- 広報:「企業イメージを打ち出したい」
- 現場スタッフ:「操作が分かりやすいほうがいい」
→ まずは“このデモ機で何を達成したいのか”を全員で合意する。
- 誰がターゲットで、どう感じてほしいのか
- そのためにはどんな体験価値が重要か
ここをコンセプトとして固めることで、具体的なデザインや機能の議論でも「コンセプトに合っているか?」が判断基準となり、プロジェクトはスムーズに進みました。
6. ビジネス面とのすり合わせ:コスト・利益もゴールから逆算
6-1. コンセプトがあれば優先度が明確になる
商品企画では「コストは限られているし、売上も見込みたい」というビジネス要件がつきものです。
- 「高級感を最優先する」というゴールなら、素材には費用をかけるが、他の部分で削ってもOKかもしれない。
- 「低コスト重視で市場参入」がゴールなら、見栄えや機能を最低限に留め、価格訴求を徹底する。
6-2. 経営層への説明効果
- コンセプトが明確だと、「なぜ投資が必要なのか」「どの程度のリターンが見込めるのか」を論理的に説明できるので説得力が段違いに上がります。
- 意思決定が迅速になり、複数の提案も「ゴールに合致しているか」で判断できるため、BtoBの現場でも効果を発揮します。
7. コンセプトがブレそうになったら? 運用のコツ
7-1. 定期的にコンセプトを再確認する
プロジェクトが進むうちに「やっぱり機能を増やしたい」「新しいターゲットも取り込みたい」などといった意見が出てくることは珍しくありません。そんな時こそ「今のコンセプトと矛盾しないか?」を再チェックする習慣をつくりましょう。
7-2. 必要であれば“言語化”し直す
もし大きく方針転換が必要なら、コンセプト自体を再定義するのもアリです。ただし、その変更がどのくらいの影響を及ぼすかを全員に共有しないと、結局また“なんか違う”に陥ります。
- 改めて言葉で説明し、合意形成を取る
- 「大事なものはどこで、どこを妥協できるのか」話し合いましょう
8. まとめ:商品企画=コンセプト(ゴール)を先に固めよう
- ゴール=コンセプトが明確だと“なんか違う”を激減
- 判断軸が一貫するため、プロジェクトの迷走を防ぎます。
- 言語化トレーニングで論理的な説明ができるようになる
- 個人の感性を具体的な論理に変えることで、チーム全体の理解が深まります。
- ビジネス面でも優先度が見極めやすい
- 投資すべき部分と妥協できる部分を整理し、上層部への説得力も向上します。
- シンプルなコンセプトが強い
- あれこれ欲張らず「これだけは譲れない」を一文で言い切る姿勢が、ブレのないプロダクトづくりに繋がります。
おわりに:まずは“コンセプトをシンプルに”試してみませんか?
もし「商品企画は大事だと思うけど、いつも『なんか違う』と言われがち…」というお悩みがあるなら、ぜひ最初にコンセプト(ゴール)をシンプルに設定するところから始めてください。
- キーワードを書き出してみる
- なぜそれが重要かを言語化する
- どこまでなら削れるか、逆に絶対守るべき部分は何か
こうした作業をチーム全員で行うだけでも、次のステップが格段に楽になります。
あなたのプロジェクトをサポートします
私はプロダクトデザイナーとして、“コンセプトづくり”や“言語化によるノイズ排除”を数多く経験してきました。BtoB商品開発の現場で、共通のゴール設定がプロジェクトの成功に直結することを実感しています。
もし「何から手をつければいいのか分からない」「チームで意識を合わせたい」という場合は、ぜひお気軽にご相談ください。あなたの状況に合わせたワークショップや具体的なアドバイスで、プロジェクトのゴール設定からデザイン提案までトータルにサポートいたします。
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