プロダクトデザイナーとは?製品企画から量産まで “いい塩梅” を見つけるモノづくり
モノづくりのいい塩梅を見つける

はじめに
「プロダクトデザイナー」と聞くと、雑貨や家電などの見た目を作るイメージがあるかもしれません。近年では、アプリやWebサービスのUI/UXまで含めて“製品”全般を指すことも増えてきました。私は個人的に「プロダクト=形のあるモノ」という想いが強いので少し違和感もありますが、海外のトレンドもあって呼び名が拡張している印象です。
名称はそこまで重要ではなく、もっとも大切なのは、どのように人が使い、どう価値を感じるかという点。実際のモノづくりの現場では、商品企画の段階からブランディング、量産工程まで関わることが多く、最終的に“いい塩梅”を探り当てるのがプロダクトデザイナーの大きな役割でもあります。
1. プロダクトデザイナーの幅広い領域
プロダクトデザイナーは、単なるビジュアルデザインだけではなく、製品のコンセプト設定やブランディング、量産化の準備など、多岐にわたる工程を見渡して仕事をします。
1-1. 企画・ブランディング
- ターゲット層の設定: 誰に向けてどんなシーンで使ってもらうか
- 商品の立ち位置やイメージ: どんなブランド感を演出するか、他社とどう差別化するか
- パッケージやマーケティングとの連動: コンセプトを一貫させ、統一感のあるデザインに
1-2. デザイン・試作
- スケッチや3Dモデリング: 2Dでカッコよくても、3D化すると辻褄が合わないことがよくある
- 試作と検証: 実際に使ってみて、操作性や組立のしやすさなどを確認
- エンジニア・工場との連携: 細かな仕様を詰めながら形を固め、量産可能な形状へ落とし込む
1-3. 量産・フォローアップ
- 金型や材料の選定: 加工方法や素材特性、コストを考慮しながら決定
- ブランド維持・改良: リリース後のユーザーフィードバックを取り入れ、継続的にブラッシュアップ
2. 企画段階から関わるメリット
メーカーでは仕様が固まった後にデザイナーが呼ばれるケースも少なくありません。けれども、私は企画段階から参加するほうが“本当に使いやすく魅力的なモノ”を生み出しやすいと実感しています。
2-1. ゴール設定が明確になる
- 「何のために作るのか」「どんな体験を提供するのか」を、最初に固めることでチームが迷走しにくくなる
- デザイナーが「使うシーン」や「印象」を視覚化すると、開発チーム全員が“これだ!”と思えるコンセプトを共有しやすい
2-2. チームのモチベーション向上
- ゴールが魅力的だと、「これは売れそう」「作っていて楽しい」という気持ちが生まれ、会議や試作の段階で積極的なアイデアが出やすい
- 結果として、ユーザーだけでなく、作り手にとっても誇りの持てる製品になりやすい
2-3. “なんか違う”を大幅に減らす
- コンセプトが曖昧だと「なんか違う」「ピンとこない」というやり直しが頻発しがち
- 初期にゴール(コンセプト)を固めることで「それはゴールに合っているか?」と客観的に判断でき、手戻りを最小限に
3. 2Dと3Dのギャップ、量産性との折り合い
ディスプレイ上のデザインは自由自在に見えますが、実際の製造現場では以下のような制約が必ず出てきます。
- 加工方法: 金型で成形するか、溶接するか、プレスか、射出成形か…
- 素材特性: 樹脂ならゲートの配置や成形方法、金属なら溶接箇所の仕上げ
- 組立工程: パーツ数が多すぎれば工数が増え、コストと不良リスクが高まる
プロダクトデザイナーは、こうした現実的な要素を踏まえ、「ここはデザイン重視」「ここはコスト重視」とメリハリをつけながら形状を最適化します。
4. “いい塩梅”を見つけるとは?
ここがプロダクトデザイナーの最大の醍醐味です。
4-1. 具体的なせめぎ合いのケース
- 意匠面や製品の重要な箇所は、多少コストがかかっても仕上げを丁寧に。
- ほとんど目につかない裏側は、ほどほどのきれいさでコストを抑える。
- 樹脂成形ではゲート位置や成形方式を、金属製品では溶接方法や研磨を、そのパーツの“見え方”に応じて使い分ける。
4-2. ユーザーが触れる部分×コストの両立
- 外観に大きく影響するパーツは、ゲート痕が見えにくい配置にする、溶接跡をしっかり研磨するなど、見た目のクオリティを優先
- 内部構造や裏側は、強度や組立性を確保できれば多少跡が残っても許容する
- こうして要所要所でコスト配分を変えることで、価格面とデザイン面のバランスを最適化する
4-3. なぜこれが大切なのか
- コストを抑えすぎると、ブランドイメージやユーザー体験を損ねる恐れ
- デザインを優先しすぎると、量産工程が複雑になり価格が高騰するリスクも
- “ここは譲らない”“ここは妥協できる”の判断を、事前のコンセプトやユーザー視点を基準に行いながら、最適解を探るのがプロダクトデザイナーの腕の見せ所
5. まとめ:モノづくりの総合力で“使う人”をワクワクさせる
- 商品企画からブランディング、量産調整まで、幅広い工程に関わる
- デザインとコスト、機能、ブランドイメージのバランスを**“いい塩梅”**で取りまとめる
- ユーザーが手に取ったときに「これ、いいね!」と感じられる製品へ仕上げていく
これこそが、私が考えるプロダクトデザイナーの真髄です。
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おわりに
- 「自社の製品企画にもっとデザイン目線を取り入れたい」
- 「コストを抑えつつ、ユーザーがワクワクするモノを作りたい」
- 「デザイナーにどこまで頼めばいいのか分からない」
というお悩みがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。企画の初期段階から参画することで、使う人はもちろん、開発チームまでもが“この製品ならいける!”とテンションが上がる魅力的なコンセプトを一緒に作り上げましょう!
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